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其の一 ピッコロ大地に立つ 下
- 2007.06.30 Saturday
- サイヤ人来襲編
- 22:01
- comments(10)
- trackbacks(139)
- by shokichi
「よう!久しぶりだな!」
息子悟飯を抱いた孫悟空は、亀ハウスにいる亀仙人らに挨拶した。彼らと会うのは一年ぶりだ。パオズ山に籠もってばかりでは悟飯ちゃんの教育によくねえ。動物や自然と戯れのもいいが社交性を身につけなくちゃいけねえという妻チチの提案で亀ハウスにやってきた。
ブルマ、クリリン、ウーロンらもいる。一年しか間を置いていないが、共に闘ってきた仲間達との再会に心が和む一方、「また何か冒険が始まるのでは」という淡い期待が膨らむ。
一年ぶりの挨拶を笑顔で交わしていた悟空が突然険しい顔になって立ちすくんだ。
「どうしたんだよ悟空?マジな顔しちゃって?」
「クリリン、わからねえか?とんでもなくでかい気がこっちに向かってきている・・・!」
クリリンもすぐに気を探る。いつもおどけている亀仙人すら真剣な表情でうつむきながら気を探っている。その姿をみたブルマとウーロンは何が起こったかわからずうろたえた。
「本当じゃ!ずいぶんとえらい気が近づいておる!」
「来たぞ!」
クリリンが叫んだ。この気を感じたとき、天下一武道会決勝一回戦でぶつかったギランかと思ったが、こんな悪意に満ちた気は今まで感じたこともなかった。 あわてて背後を振り返る一同。そこには孫悟空そっくりの男が立っていた。
「オラにそっくりだ・・・」
と、悟空は呟いた。恐怖に引きつった悟空とひきかえ、クリリンは男の姿を見るやさっきまでの心配をよそになれなれしく近づいた。悟空と同様尻尾も生えているし、きっとまた悟空の親戚か何かだろう。そう安心して近づいた。
「もしかして、あんたも悟空の親戚か?この前は兄貴が来たし、もしかして双子・・・」
「クリ・・・!」
悟空が叫ぼうとした瞬間、男の尻尾がクリリンの顔面を襲った。が、紙一重でどうにか交わすクリリン。すぐにうしろに飛び下がり距離をとる。不意打ちをかわされたことで、男の表情は少し歪んだ。
「俺の名はターレス!そこにいるカカロットのはとこに当たる男だ!」
ターレスと名乗った男は叫んだ。
「何じゃとおおお!?」
「・・・はい?」
悟空『オッス!オラ悟空!またまたオラの親戚が登場か!それにしても双子とかいとこじゃなくて、はとこかよ!本当微妙なキャラだなー』
息子悟飯を抱いた孫悟空は、亀ハウスにいる亀仙人らに挨拶した。彼らと会うのは一年ぶりだ。パオズ山に籠もってばかりでは悟飯ちゃんの教育によくねえ。動物や自然と戯れのもいいが社交性を身につけなくちゃいけねえという妻チチの提案で亀ハウスにやってきた。
ブルマ、クリリン、ウーロンらもいる。一年しか間を置いていないが、共に闘ってきた仲間達との再会に心が和む一方、「また何か冒険が始まるのでは」という淡い期待が膨らむ。
一年ぶりの挨拶を笑顔で交わしていた悟空が突然険しい顔になって立ちすくんだ。
「どうしたんだよ悟空?マジな顔しちゃって?」
「クリリン、わからねえか?とんでもなくでかい気がこっちに向かってきている・・・!」
クリリンもすぐに気を探る。いつもおどけている亀仙人すら真剣な表情でうつむきながら気を探っている。その姿をみたブルマとウーロンは何が起こったかわからずうろたえた。
「本当じゃ!ずいぶんとえらい気が近づいておる!」
「来たぞ!」
クリリンが叫んだ。この気を感じたとき、天下一武道会決勝一回戦でぶつかったギランかと思ったが、こんな悪意に満ちた気は今まで感じたこともなかった。 あわてて背後を振り返る一同。そこには孫悟空そっくりの男が立っていた。
「オラにそっくりだ・・・」
と、悟空は呟いた。恐怖に引きつった悟空とひきかえ、クリリンは男の姿を見るやさっきまでの心配をよそになれなれしく近づいた。悟空と同様尻尾も生えているし、きっとまた悟空の親戚か何かだろう。そう安心して近づいた。
「もしかして、あんたも悟空の親戚か?この前は兄貴が来たし、もしかして双子・・・」
「クリ・・・!」
悟空が叫ぼうとした瞬間、男の尻尾がクリリンの顔面を襲った。が、紙一重でどうにか交わすクリリン。すぐにうしろに飛び下がり距離をとる。不意打ちをかわされたことで、男の表情は少し歪んだ。
「俺の名はターレス!そこにいるカカロットのはとこに当たる男だ!」
ターレスと名乗った男は叫んだ。
「何じゃとおおお!?」
「・・・はい?」
悟空『オッス!オラ悟空!またまたオラの親戚が登場か!それにしても双子とかいとこじゃなくて、はとこかよ!本当微妙なキャラだなー』
其の一 ピッコロ大地に立つ 上
- 2007.06.30 Saturday
- サイヤ人来襲編
- 21:48
- comments(0)
- trackbacks(6)
- by shokichi
天下一武道会が終わり1年が過ぎた。
天津飯はランチと結婚後『真・鶴仙流格闘術』道場を開設、天下一武道会優勝者の知名度で道場は大盛況。弟子は1ヶ月で100名を越えた。しかし、3ヵ月後、道場の指導という単調な日々に飽いた天津飯はチャオズを師範代に置き、更なる強さを目指し修行の旅に出た。
ヤムチャは1ヶ月間放蕩生活を経た後、遊びと修行を兼ね諸国漫遊の旅へ。また、他の天下一武道会参加選手達もそれぞれの日常へ戻っていった。
そして、弟との再会という目的を果たしたラディッツは、悟空の家に2ヶ月余り滞在したあと、カリン塔へ向かった。コーク星を奴隷星とし、家族や友人を奪ったサイヤ人たちを討つために。今のままでは到底あのサイヤ人らには勝てない。当初、悟空の恩師である武天老師のもとへ向かったが、自分などよりもカリン様に教えを請うほうがよいとい言われカリン塔へ向かうことになったのである。もちろん、修行の旅へ旅立つ前悟空もラディッツに同行し、是非ともラディッツと共にサイヤ人と戦うことを願い出たが、ラディッツは妻子ある弟を巻き込みなくなかったのでこれをきっぱりと断った。それから、悟空が家庭を離れ修行の旅に出ることに猛反対したため、悟空はおとなしくパオズ山にて日々を過ごすことに。
――――――――――――
見渡す限りの荒野。わずかな背の低い植物以外は岩山ばかりである。
マジュニア、かつて世界を恐怖のどん底に陥れたピッコロ大魔王の生まれ変わりである。マジュニアという名は天下一武道会に出場したときの仮名であり、本当の名は父親と同じ「ピッコロ」である。天下一武道会決勝では孫悟空に敗れたもののその強さは天津飯、クリリンらを震え上がらせたほどだ。そのピッコロが今、蛇に睨まれた蛙のように震えている。
ピッコロは最初、目の前にいるこの男が孫悟空かと思った。顔、髪型、体型もそっくりだが、よく見ると皮膚の色が浅黒い。おまけに肩当と前垂れの付いた全身を覆う鎧を身にまとっている。さらに、片目にだけ青色のゴーグルのようなものをつけていた。この男と孫悟空の何よりの違いは、男の身体全身から発せられる禍々しいほどの気であった。ピッコロはこの男と対峙しているだけで全身の気力が萎えそうになった。何か自分から行動を起こさないとこのプレッシャーに耐えることができない。
「貴様何者だ!?この俺をピッコロ大魔王と知ってのことか!?」
振り絞るように声を出すピッコロ。
「えらく威勢がいいな・・・。戦闘力695・・・。地球にもこんな奴がいたのか・・・。」
男はピッコロをあざ笑うかのように呟いた。
「ずあ!!!!」
はち切れんばかりの緊張感を断ち切ろうとしたのか、ピッコロが男に向けてエネルギー波を放出した。エネルギー波は男を飲み込みものすごい砂煙を巻き上げた。数秒後、砂煙の中から傷ひとつない男の姿が現れた。
「くだらん技だなあ・・・ただ埃を巻き上げるだけか?」
膝が震え、恐怖におののくピッコロに一歩近づいたそのとき、男のゴーグル、スカウターが反応を示した。
「む?!この男ほどではないが、高い戦闘力が高速で移動している・・・!カカロットか!」
言うやいないや砂煙を巻き上げ飛び去って行った。ピッコロは男が立ち去った後、両手を地に着き跪いた。自分ほどのものがこれほどの恐怖を感じ何もできなかったのは屈辱であったが、今は何よりも安堵感の方が強かった。
天津飯はランチと結婚後『真・鶴仙流格闘術』道場を開設、天下一武道会優勝者の知名度で道場は大盛況。弟子は1ヶ月で100名を越えた。しかし、3ヵ月後、道場の指導という単調な日々に飽いた天津飯はチャオズを師範代に置き、更なる強さを目指し修行の旅に出た。
ヤムチャは1ヶ月間放蕩生活を経た後、遊びと修行を兼ね諸国漫遊の旅へ。また、他の天下一武道会参加選手達もそれぞれの日常へ戻っていった。
そして、弟との再会という目的を果たしたラディッツは、悟空の家に2ヶ月余り滞在したあと、カリン塔へ向かった。コーク星を奴隷星とし、家族や友人を奪ったサイヤ人たちを討つために。今のままでは到底あのサイヤ人らには勝てない。当初、悟空の恩師である武天老師のもとへ向かったが、自分などよりもカリン様に教えを請うほうがよいとい言われカリン塔へ向かうことになったのである。もちろん、修行の旅へ旅立つ前悟空もラディッツに同行し、是非ともラディッツと共にサイヤ人と戦うことを願い出たが、ラディッツは妻子ある弟を巻き込みなくなかったのでこれをきっぱりと断った。それから、悟空が家庭を離れ修行の旅に出ることに猛反対したため、悟空はおとなしくパオズ山にて日々を過ごすことに。
――――――――――――
見渡す限りの荒野。わずかな背の低い植物以外は岩山ばかりである。
マジュニア、かつて世界を恐怖のどん底に陥れたピッコロ大魔王の生まれ変わりである。マジュニアという名は天下一武道会に出場したときの仮名であり、本当の名は父親と同じ「ピッコロ」である。天下一武道会決勝では孫悟空に敗れたもののその強さは天津飯、クリリンらを震え上がらせたほどだ。そのピッコロが今、蛇に睨まれた蛙のように震えている。
ピッコロは最初、目の前にいるこの男が孫悟空かと思った。顔、髪型、体型もそっくりだが、よく見ると皮膚の色が浅黒い。おまけに肩当と前垂れの付いた全身を覆う鎧を身にまとっている。さらに、片目にだけ青色のゴーグルのようなものをつけていた。この男と孫悟空の何よりの違いは、男の身体全身から発せられる禍々しいほどの気であった。ピッコロはこの男と対峙しているだけで全身の気力が萎えそうになった。何か自分から行動を起こさないとこのプレッシャーに耐えることができない。
「貴様何者だ!?この俺をピッコロ大魔王と知ってのことか!?」
振り絞るように声を出すピッコロ。
「えらく威勢がいいな・・・。戦闘力695・・・。地球にもこんな奴がいたのか・・・。」
男はピッコロをあざ笑うかのように呟いた。
「ずあ!!!!」
はち切れんばかりの緊張感を断ち切ろうとしたのか、ピッコロが男に向けてエネルギー波を放出した。エネルギー波は男を飲み込みものすごい砂煙を巻き上げた。数秒後、砂煙の中から傷ひとつない男の姿が現れた。
「くだらん技だなあ・・・ただ埃を巻き上げるだけか?」
膝が震え、恐怖におののくピッコロに一歩近づいたそのとき、男のゴーグル、スカウターが反応を示した。
「む?!この男ほどではないが、高い戦闘力が高速で移動している・・・!カカロットか!」
言うやいないや砂煙を巻き上げ飛び去って行った。ピッコロは男が立ち去った後、両手を地に着き跪いた。自分ほどのものがこれほどの恐怖を感じ何もできなかったのは屈辱であったが、今は何よりも安堵感の方が強かった。
DRAGON BALL Z Sparking! NEO
- 2006.11.28 Tuesday
- おしらせ
- 19:59
- comments(1)
- trackbacks(4)
- by shokichi
管理人の庄吉です。だるく様の『あんちぇいん』にも載っておりますが、『ドラゴンボールZスパーキングネオ!』の映像をお届けします。
あんちぇいん様にもありましたが、バンプレストの方々、目の付け所が違いますね。ゲームの内容は詳しく知りませんが、ラディッツがまるで主人公のようではないですか!?
ピッコロの返り討ちに遭い、
記憶をなくしたり、
不良品の栽培マンに自爆されたり、原作にも増して、何かに憑かれているラディッツ。
そして、ロード時間中に流れるヤムチャの操気弾のためポーズ・・・。
ハチャメチャなストーリーですが楽しそうな一品です。
あんちぇいん様にもありましたが、バンプレストの方々、目の付け所が違いますね。ゲームの内容は詳しく知りませんが、ラディッツがまるで主人公のようではないですか!?
ピッコロの返り討ちに遭い、
記憶をなくしたり、
不良品の栽培マンに自爆されたり、原作にも増して、何かに憑かれているラディッツ。
そして、ロード時間中に流れるヤムチャの操気弾のためポーズ・・・。
ハチャメチャなストーリーですが楽しそうな一品です。
其の二十二 はじめまして、そして・・・ 下
- 2006.11.22 Wednesday
- 天下一武道会編
- 22:05
- comments(0)
- trackbacks(2)
- by shokichi
「カカロットよ・・・やっと会えたな・・・」
悟空が息子をチチにあずけてから、ラディッツはすぐ弟を抱きしめた。亀仙人らから、悟空が小さい頃まったくのきかんぼうで、頭を打ってからとたんに良い子になったこと。地球人離れした強さを持っていたこと。彼の生い立ちをたっぷり聞いていたので、今日はじめて会った男が血を分けた自分の弟であることに何の疑いもなく受け入れることができた。それから、悟空を見たときの「肉親である」という直感が弟を抱きしめさせた。
「おめえ誰だ?いきなり抱きついてくんなよ・・・」
見知らぬ人間に抱きつかれ戸惑う悟空だったが、ラディッツはすでに涙を流して喜んでいる。その姿をみた亀仙人とブルマも目元を拭っている。事情を飲み込めていないチチと悟空はただぽかんとしている。
「久しぶりにお客さんが来たし、悟空さのお兄さんも来た。よーし!今日はごちそうにすっぺか!」
チチは洗濯物をほったらかし、早速炊事に取り掛かった。
そして、夕食。
はじめは、ラディッツの生まれた星での話でちょっと暗くなってしまった。サイヤ人がコーク星にやってきて、その後惑星フリーザに拉致されたことまで、みんなの前で話す雰囲気ではなかった。この話は追々カカロットに話すことにしよう。ラディッツはそう決め、話題を天下一武道会に変えた。
話題が天下一武道会になってから話は盛り上がった。
「へえ〜。パンプットやチャパ王がそんなに強くなったのか。まあ、そのメンバーだったらヤムチャが優勝して当然だな。もちろん、天津飯は出なかったんだろ?」
「おい、悟空。それじゃまるで俺がよっぽど楽して勝ったみたいじゃないか!」
周囲から笑いが起きる。しかし、師であった亀仙人は、悟空の変化に気づいた。以前の悟空なら「オラも戦いたかったな」の一言くらい出てもいいはずだ。ピッコロ大魔王、その生まれ変わりであるマジュニアを倒し、天下を極めたと思っているのだろうか。それとも、妻子を持ち、世にある普通の夫となったのだろうか。いずれでもよい・・・悟空は幼い頃からずっと闘い続けてきた。悪を倒し、世界を救ってきた。もう休ませてやってもよい、と思った。
昔話にも花が咲いた。ラディッツは酒に酔い、甥っ子の悟飯を寝かしつけていたら自分も寝てしまった。
翌日、ブルマらは眠っているラディッツを置いて、悟空たちに別れを告げ飛び立っていった。ラディッツが目を覚ましたのは、その2時間後である。
「ん・・・?もう朝か?ヤムチャたちはどこだ?俺も行かないと」
「行くってどこさ行くだ?行く当てもねえだろ。もっとゆっくりしていけ。いつまでもいてええだぞ。朝ごはんも用意してあるだ」
チチがやさしくラディッツに話しかける。ラディッツはありがとうと言って朝食をとりにいった。悟空は狩りに出かけているらしい。天下一武道会で負った傷がまだ痛む。この辺は緑が多いし、空気も良い。傷の療養にはもってこいなので、散歩に出た。家を出て100mほど歩いたら、森の中から巨大な魚をかついだ悟空が現れた。
「あれ?ラディッツ兄ちゃん、どこ行くんだ?」
「ちょっと散歩でもしようと思ってな。そうだ、カカロット、どこかでちょっと話さないか?」
悟空はうれしそうにうなずき、獲物を家に置いてからラディッツと一緒に近くの河原へ向かった。適当な岩を見つけそこに腰を下ろした。ラディッツはコーク星が奴隷星となったこと、自分が地球までやってきたことを事細かに悟空に話した。話の最中、悟空は何度も小石を川へ投げ込んだ。ラディッツの育った星、ラディッツの身の上があまりにも悲惨だったので憤っていたのだ。
「兄ちゃん。そのサイヤ人って言う奴ら、そんなに強ええのか?」
「まあ、俺達もサイヤ人だが、コーク星に来た二人組みは半端な強さじゃなかった。俺の大切な人達も殺された。サイヤ人は元来戦闘民族で、闘うことが生きがいなんだ。もっともお前は、頭を打ってからずいぶんやさしいサイヤ人になったようだが」
最後は笑顔で悟空に話しかけた。
「そうか。でも、兄ちゃんだってやさしそうじゃねえか」
「俺も小さい頃は暴れん坊だったよ。だが、俺の育ての親がいい人たちだったし、学校教育もちゃんと受けたし、そのせいかもしれないな。それと、俺はもともと臆病な性質なんだ」
互いの生い立ちを一時間ばかり話し、二人はそろって家に向かった。
ラディッツは幸せだった。唯一の血のつながった肉親。自分が育った家のように心安らぐことができた。そして、悟空の子である悟飯がなにより可愛かった。悟空やチチがあやしてもなかなか泣き止まないときは、悟飯をラディッツに預けるとすぐに泣き止み笑顔を見せる。悟飯もまだしゃべれないが叔父であるラディッツをたいそう気に入っているようだった。目に入れても痛くない可愛がりようで、1週間後にはすっかり甥っ子煩悩の叔父さんになっていた。
天下一武道会編−完−
悟空『ちょっと待ってくれよ!初登場なのにいきなり最終回ってどういうことだよ!?俺は前天下一武道会優勝者・・・(略)』
亀仙人『まだ終わりじゃないぞよ。まだもうちょっと続くんじゃ』
悟空が息子をチチにあずけてから、ラディッツはすぐ弟を抱きしめた。亀仙人らから、悟空が小さい頃まったくのきかんぼうで、頭を打ってからとたんに良い子になったこと。地球人離れした強さを持っていたこと。彼の生い立ちをたっぷり聞いていたので、今日はじめて会った男が血を分けた自分の弟であることに何の疑いもなく受け入れることができた。それから、悟空を見たときの「肉親である」という直感が弟を抱きしめさせた。
「おめえ誰だ?いきなり抱きついてくんなよ・・・」
見知らぬ人間に抱きつかれ戸惑う悟空だったが、ラディッツはすでに涙を流して喜んでいる。その姿をみた亀仙人とブルマも目元を拭っている。事情を飲み込めていないチチと悟空はただぽかんとしている。
「久しぶりにお客さんが来たし、悟空さのお兄さんも来た。よーし!今日はごちそうにすっぺか!」
チチは洗濯物をほったらかし、早速炊事に取り掛かった。
そして、夕食。
はじめは、ラディッツの生まれた星での話でちょっと暗くなってしまった。サイヤ人がコーク星にやってきて、その後惑星フリーザに拉致されたことまで、みんなの前で話す雰囲気ではなかった。この話は追々カカロットに話すことにしよう。ラディッツはそう決め、話題を天下一武道会に変えた。
話題が天下一武道会になってから話は盛り上がった。
「へえ〜。パンプットやチャパ王がそんなに強くなったのか。まあ、そのメンバーだったらヤムチャが優勝して当然だな。もちろん、天津飯は出なかったんだろ?」
「おい、悟空。それじゃまるで俺がよっぽど楽して勝ったみたいじゃないか!」
周囲から笑いが起きる。しかし、師であった亀仙人は、悟空の変化に気づいた。以前の悟空なら「オラも戦いたかったな」の一言くらい出てもいいはずだ。ピッコロ大魔王、その生まれ変わりであるマジュニアを倒し、天下を極めたと思っているのだろうか。それとも、妻子を持ち、世にある普通の夫となったのだろうか。いずれでもよい・・・悟空は幼い頃からずっと闘い続けてきた。悪を倒し、世界を救ってきた。もう休ませてやってもよい、と思った。
昔話にも花が咲いた。ラディッツは酒に酔い、甥っ子の悟飯を寝かしつけていたら自分も寝てしまった。
翌日、ブルマらは眠っているラディッツを置いて、悟空たちに別れを告げ飛び立っていった。ラディッツが目を覚ましたのは、その2時間後である。
「ん・・・?もう朝か?ヤムチャたちはどこだ?俺も行かないと」
「行くってどこさ行くだ?行く当てもねえだろ。もっとゆっくりしていけ。いつまでもいてええだぞ。朝ごはんも用意してあるだ」
チチがやさしくラディッツに話しかける。ラディッツはありがとうと言って朝食をとりにいった。悟空は狩りに出かけているらしい。天下一武道会で負った傷がまだ痛む。この辺は緑が多いし、空気も良い。傷の療養にはもってこいなので、散歩に出た。家を出て100mほど歩いたら、森の中から巨大な魚をかついだ悟空が現れた。
「あれ?ラディッツ兄ちゃん、どこ行くんだ?」
「ちょっと散歩でもしようと思ってな。そうだ、カカロット、どこかでちょっと話さないか?」
悟空はうれしそうにうなずき、獲物を家に置いてからラディッツと一緒に近くの河原へ向かった。適当な岩を見つけそこに腰を下ろした。ラディッツはコーク星が奴隷星となったこと、自分が地球までやってきたことを事細かに悟空に話した。話の最中、悟空は何度も小石を川へ投げ込んだ。ラディッツの育った星、ラディッツの身の上があまりにも悲惨だったので憤っていたのだ。
「兄ちゃん。そのサイヤ人って言う奴ら、そんなに強ええのか?」
「まあ、俺達もサイヤ人だが、コーク星に来た二人組みは半端な強さじゃなかった。俺の大切な人達も殺された。サイヤ人は元来戦闘民族で、闘うことが生きがいなんだ。もっともお前は、頭を打ってからずいぶんやさしいサイヤ人になったようだが」
最後は笑顔で悟空に話しかけた。
「そうか。でも、兄ちゃんだってやさしそうじゃねえか」
「俺も小さい頃は暴れん坊だったよ。だが、俺の育ての親がいい人たちだったし、学校教育もちゃんと受けたし、そのせいかもしれないな。それと、俺はもともと臆病な性質なんだ」
互いの生い立ちを一時間ばかり話し、二人はそろって家に向かった。
ラディッツは幸せだった。唯一の血のつながった肉親。自分が育った家のように心安らぐことができた。そして、悟空の子である悟飯がなにより可愛かった。悟空やチチがあやしてもなかなか泣き止まないときは、悟飯をラディッツに預けるとすぐに泣き止み笑顔を見せる。悟飯もまだしゃべれないが叔父であるラディッツをたいそう気に入っているようだった。目に入れても痛くない可愛がりようで、1週間後にはすっかり甥っ子煩悩の叔父さんになっていた。
天下一武道会編−完−
悟空『ちょっと待ってくれよ!初登場なのにいきなり最終回ってどういうことだよ!?俺は前天下一武道会優勝者・・・(略)』
亀仙人『まだ終わりじゃないぞよ。まだもうちょっと続くんじゃ』
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